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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第49章 治療。


 リビングのソファに座らせられると、池田先生は市販の頭痛薬程の大きさのピンク色の錠剤と水の入ったコップを差し出し、アタシに食事前に飲む様に促した。何のお薬なのかは分からないけれど、それを口に含むとラムネの様に甘い味がした。それを水で飲み下し、デリで買って来たお惣菜とパンとで簡単な食事を頂いた。

 そう言えば何故、先生は突然連絡をしてきたのだろう。アタシとしては、山岡さんの居ない日で助かったんだけど。そう思って先生に尋ねると、平川さんと連絡を取り合っているのだと言う。要するに、今日は山岡さんが居ないと言う事を知っていて、連絡をしてきたのだ。

 「でも、平川さんは一緒に帰らないかって……」

 「貴女を試したのかも知れませんね。でも、彼も分かっていたでしょう。貴女が約束を反故(ほご)にする様な方ではないと。それとも、私との約束を破って、彼と帰るつもりでしたか?」

 「いえ……そんな事は……」

 「ふふっ。そうですよね? 貴女は正直な方です。特に身体は……」

 池田先生はそう言って目を細め、口の端を吊り上げる。その瞳は既に肉食獣が獲物を追い詰める様にギラギラとし始めていて。これから先生に食べられちゃうんだと思ったら、カッと身体が熱くなる。そして、心臓がドキドキする度に、何故かクリトリスにも心臓があるみたいにドクンドクンと脈打つ様な感覚を覚えた。

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