おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第49章 治療。
その後の事は覚えていなくて。目を覚ました時には、池田先生の寝室のベッドの上だった。慌てて飛び起きてスマートフォンを探し出して時間を確認する。すると隣で眠っていた先生が、眠そうな声で「どうかした?」と言って、アタシの腕を引いて腕の中に閉じ込めた。
「あのっ、時間っ……」
アタシは先生の腕の中でもがきながら画面で時間を確認すると、午前二時過ぎだった。両親には遅くなる事も告げていないのにと、顔から血の気が引く。もう二十歳を過ぎた大人であるにも関わらず、アタシは未だ両親の干渉を受けている。別にそれに不自由だと思った事もないのだけれど。
「ああ、キミの家には俺から連絡を入れておいたから、心配しなくていいよ……」
両親の信頼の厚い先生だもんね。連休中にアタシを先生に任せるくらいだものね。
「そう言えば、キミは山岡君と付き合っている事、ご両親に話していないの?」
先生は気怠そうに半分閉じた目でアタシを見ながら尋ねる。その表情が色っぽくて、不覚にも胸がドキッとしてしまった。
「それは……」
「何か言えない理由でもあるの? ご両親に紹介出来ないんだったら、別れるのも時間の問題かな? だったら、俺の方がいいでしょう? ご両親も喜ぶと思うけどね」
そう言うと先生はクスッと笑って、アタシの身体に巻き付けた腕に力を込める。そしてアタシの頭に頬擦りをしながら、手をゆっくりと動かしアタシの肌の上をなぞった。