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第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。


 取り敢えず荷物をコテージに置き、坂内部長達と三人(下出、山岡さん、川上さん)が遊んでいるビーチへと向かう。砂浜では、燥ぎ過ぎて疲れたのか、三人が"大の字"になって寝転がっていた。そんな三人に呆れた顔をして、「初日から燥ぎ過ぎるなよ」と釘を差した坂内部長と高槻室長は、沖に出て釣りを愉しむのだと言って、桟橋の方へと行ってしまった。

「たまちゃん。日焼け止めは塗った?」

 アタシが座る為のシートを拡げながら、平川さんが尋ねてくる。一応、手の届く範囲は塗ったと伝えると、「じゃあ、背中は塗れていないんだね。塗ってあげるよ」と言って、シートの上に俯せになるように促された。アタシはお言葉に甘えて、上に来ていた薄手のパーカーを脱ぐと、シートに横たわり目を閉じる。真夏の太陽を受けた白い砂の照り返しは、目を瞑っていても眩しいと感じる程にだった。

「ちゃんと塗らないとムラになったら困るからね」と言って、平川さんは日焼け止めのローションをたっぷりと手に溜めるとアタシの背中にそれを垂らしながら、塗っていく。メンソール入りなのだろうか。潮風が肌の上を滑ると、スーッとして気持ちが良い。

「何かさぁ、王子の手付き、いやらしくなぁい?」

 砂の上をゴロゴロと転がり、アタシの隣で止まった川上さんが、そう言って平川さんを見上げる。平川さんは、「そんな事ないよ」と答えながら、ローションを肩や二の腕に伸ばしていった。

「俺もモリリンに塗る~」

 そう言って、いつの間にか傍に来ていた山岡さんが、砂の上に置かれていたローションのボトルを手に取ると、川上さんも「じゃあ、俺も~」と言って、山岡さんからボトルを奪った。

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