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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。


 「なぁ、王子。このローションって舐めても大丈夫なヤツか?」

 「いや、流石にそれは駄目だと思うよ? ひょっとして乳首を舐めたいの?」

 「ああ。駄目かな?」

 「どうだろう? 一応、ウェットティッシュは持って来たけど、拭いてみる?」

 「おー! まあ、ちょっとくらいなら、死にはしないだろ」

 「んじゃ、そこの巾着に入ってるから、自分でやってね?」

 平川さんがそう言って、シートの隅に置いた巾着袋を視線で示すと、山岡さんはそれを取り上げ中からウェットティッシュを取り出した。山岡さんがアタシの胸を拭こうと手を掛けると、川上さんが「海で洗いながせばぁ?」と言い、「その手があったか」と皆さんはアタシを抱え上げ海へと走る。

 背の高い彼等の頭上に担ぎ上げられ、落とされたら怪我をするのではとヒヤヒヤしたけれど、砂地の上で振り落とされる事はなく、アタシが落とされたのは海の中で。突然、落とされたものだから、心の準備が出来ておらず、ちょっと海水を飲んでしまった。塩辛さと磯の香りが、口の中に広がる。海の水を口に含んだのなんて、何年ぶりだろう。小学四年生の夏に家族で海に行った時以来かな。そう考えると、十年以上も海へ泳ぎに来ていない事に気付いた。

「ほら、洗い流すよぉ?」

 そう言って、川上さんの手がアタシの肌を擦る。下を向けば、透明度の高い水中で八本の手がアタシの身体を撫で回していた。

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