おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。
「ひゃっ! 擽ったいです!!」
バシャバシャと水飛沫を上げながら、皆さんの手から逃れようと身を捩る。水中で暴れるのって、水の抵抗があるせいで、結構疲れる。抵抗しなければ、そりゃあ疲れないだろうけど。擽ったくて、それは無理だ。身体が勝手に反応してしまう。暫く、AD部の皆さんは、日焼けローションを落とすと言う名目上、アタシの身体を撫で回していたが、ふと気付いた様に川上さんが声を上げた。
「ねぇ、提案しておいて、今更なんだけどさぁ……。洗い流しちゃったら、モリー日焼けしちゃうんじゃないのぉ?」
「そうだなぁ。んじゃ、日除けのシートを張るか? 確か、倉庫に高槻さんが仕舞うのを去年みた気がする……」
「じゃあ、ジャンケンでテント設営班と、たまちゃんの身体を洗う班で分かれる?」
「えー!? 俺、モリリンの身体を撫で回してたいんだけど」
「どの倉庫に仕舞ったかを知っているのはヤマだけだから、却下だよぉ? それから、シモシモも新人だから、シート設営班ねぇ?」
「ええー!? 何ですか、それぇ……。俺だって肉体労働より、こっちの方が良いですよぉ……」
アタシを置き去りにして、やいのやいのと楽しそうだな。何だろう。AD部の先輩方は、「社会人」の集まりと言うよりも、学生のサークルのノリっぽい。まあ、仕事をやる時はやる方々だけど。
「ほら、ヤマとシモシモは早く準備してねぇ? そうじゃないと、モリーの顔が焦げちゃうからねぇ?」
川上さんがそう言うと、山岡さんと下出は、渋々と言った感じで浜辺に泳いでいく。その後姿を見送りながら、川上さんはニッコリと笑うと、「涼しい所に連れていってあげる」と言って、アタシの腕を引き歩き始めた。