おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。
「ちょっと、カワ? ヤマ達が戻って来た時に、居なかったら怒られない?」
歩き出した川上さんとアタシを追って、平川さんも歩き出す。平川さんの言葉に川上さんは、「それなら、王子が戻って説明してよ」と言ったけれど、平川さんはそれを全力で拒否。そして、アタシ達は川上さんの案内で、ビーチから少し離れた所にある洞窟に辿り着いた。
中はそんなに広くはないけれど、岩盤から滲みだした水と、太陽の光が遮られている所為なのか、ひんやりと涼しく感じられる。思わず「涼しい!」と声を漏らすと、川上さんはドヤ顔をして見せた。でも、全裸。ドヤ顔だけど全裸。ちょっと変な光景だ。そう言うアタシも全裸なんだけど。
「そう言えば去年、ここで四人で怪談話したよね?」
「そうだねぇ。あの時は面白かったよねぇ……。今年もやるぅ?」
そう言って川上さんは、アタシの顔をチラっと見る。アタシはブンブンと首を横に振ってお断りをしたけれど、川上さんはニヤリと笑って「やろうねぇ?」と言った。
「大丈夫だよ。たまちゃん。怖い事なんかないよ。僕がキミを全力で守ってあげるからね?」
平川さんはそう言ってくれたけれど、怖い話は苦手なアタシ。出来れば回避したい。「何でもするから怪談は勘弁して」とお願いすると、あっさり交換条件を出して川上さんは引き下がった。恐らく、最初からそれが目的だったのだ。アタシは嵌められたんだー!!