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第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。
-----〔注:ここから少しの間、下出視点になります〕-----
山岡さんと日除け用のシート張りを終え、平川さん達を呼ぼうと沖を見ると三人の姿はなかった。
(えっ!? 何処に行ったんだ? まさか、溺れたとか言わないよな?)
俺は焦って山岡さんに、三人が沖に居ない事を知らせると、山岡さんは「あー……」と呑気にそう言って歩き出した。
「えっ? どこに行くんですか?」
「思い当たる場所があるんだよ。そこに行ってみようかと」
山岡さんはそう言うと、海岸沿いに崖のある方へと歩いて行く。桟橋のある方とは逆の方向だ。手分けして探した方がいいのかと考えていると、山岡さんは「多分間違いないから、一緒に来れば?」と俺の方を振り返って言った。
俺はその言葉を信じて、山岡さんの後ろを歩く。少し歩くと波に削られたのか、崖の下に人が入れるくらいの穴が空いているのが見えた。洞窟か。俺達が穴に近付いていくと、中から艶めかしい女の喘ぎ声が聞こえて来た。
「俺達に労働させておいて、自分達はお愉しみかよ……」
そう言って舌打ちをすると、山岡さんは中に入らずに様子を伺う様に身を屈めた。「中に入らないんですか?」と俺が訊くと、山岡さんは「何か癪に障るから驚かそうかなって思って、さ?」と言って、後ろから覗き込む俺を見上げた。
「驚かすって?」
「う~ん……始めたばっかだったら、コテージに戻って水鉄砲を持って来るんだけどなぁ……」
「ああ……あのバズーカ砲みたいなデカイやつですか?」
山岡さんの言う水鉄砲とは、オモチャのピストルの様なショボい物ではなく、「何とかキャノン」とか言う名前の凄いやつだ。飛距離は十メートル。遊び好きの山岡さんと川上さんは、他にも飛距離が二十メートルもあると言う物まで持ち込んでいる。