おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。
「なあ、シモ? お前、行って持って来てくんない?」
「ええー!? また往復するんすかぁ? 嫌ですよ。俺も見てたい。って言うか参加したいっすもん。俺が取りに行っている間に、山岡さん参加する気でしょう?」
「はぁ? しねーよ。いいから、取って来いよ。上司命令だぞ?」
「えー……。俺の上司は平川さんなんすけど……」
「いいから、早く行け!」
山岡さんはそう言うと、俺のケツをガンと蹴り飛ばした。いや、力は加減してくれたけどさ。俺はもんどり打って転がると、渋々立ち上がってコテージに向かって疾走した。仲間外れにされたくないもんな。
砂に足を取られながらも必死になって走り、コテージに着くと山岡さんと川上さんのバッグを漁る。大きいから直ぐに見つかった。そうだ。どうせならもっと驚かせてやろう。そう思った俺は、キッチンへ向かうと、冷たい水と氷を「何とかキャノン」に充填する。それを二つ肩に担ぎ、また砂浜の上をダッシュした。そう言えば、俺ってマッパだった。ビタビタと腹や腿に当たるイチモツに、自分が全裸だった事に気付く。何か変な感じだ。
はぁはぁと息を切らせながら洞窟の前まで来ると、山岡さんはその場にしゃがんで俺を待っていた。そんな事はしないと言うのは、本当だったらしい。ってか、山岡さんは嘘は言わないもんな。疑った俺が悪うございました。ペコリ。
「すんません……。持って……来ました」
俺はそう言ってキャノンを差し出す、中の水温と気温差で汗を掻いているキャノンを受け取った山岡さんは、中の水がどういう状態であるかを直ぐに察してニヤッと笑った。
「気が利くじゃん!」
そう言って俺の頭を小突く山岡さん。どんな事でも、先輩に褒められるのは嬉しい。俺はちょっと得意になって、ニッと笑うとサムズ・アップして見せた。