テキストサイズ

おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。


 森脇は先輩方の手で、どんどん可愛くなっていった。それは今も発展途上の段階だ。エッチの経験が全くなかった森脇の初心な反応に、先輩方は夢中だ。あれやこれやといつも世話を焼いている。あのクールな高槻室長でさえ。俺はと言えば、最初に与えた印象が悪かったのを自覚しているから、今更、掌を返した様に優しくしたりなんか出来なくて、何とも思っていない振りをしているけれど。どんな事も真面目に、一生懸命に取り組むアイツを少なからず想っている。彼女と別れたのは、それも要因の一つだった。

 森脇は不思議なヤツだ。取り立てて凄い美人ってわけじゃない。確かに可愛いけど。可愛い女なら他にも沢山いるのに。何か放っておけない。構いたくなる。本人は人が苦手だから、構われるのに戸惑っているみたいだけど。それも大分慣れたらしい。同期だからと言う安心感があるのか、俺には結構、本音を見せる様になってきた。下らない事を言っていると、俺に対して冷ややかな視線を送ってくる事があるが、それも堪らなく嬉しいと感じてしまう俺は相当イカれているのだろうか。まあ、そんな事は口が裂けても言えないけどな。

 百戦錬磨の先輩方まで魅了する女、森脇珠子。本当に恐ろしい女だ。本人は恋愛経験もなく、今まで人と馴れ合う事が無かった所為か、無自覚だから余計始末に負えない。先輩方が本気で口説いても、自分に自信のない森脇がそれに乗る事はない。今まで簡単に女を堕としてきた先輩方にとっては、それも堪らないようだ。何とか森脇の気持ちを自分に向けようと、あれこれと手を尽くしている。俺はその中には入っていけないけれど。

 森脇の事を「ペット」なんて言い方をしているけれど、本当にそんな風に扱っているワケじゃないし、そう思っているワケでもない。そう言わなければ、俺達の格好がつかないだけなんだ。誰か一人のモノになって欲しくないだけなんだ。心の中では自分だけの恋人になって欲しいと思いながらも。

 俺は川上さんを交わすと、平川さんに独り占めさせない為に洞窟の方へと踵を返した。

-----〔下出視点ここまで〕-----

ストーリーメニュー

TOPTOPへ