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第51章 【番外編】真夏の出来事(その2)。


「夕陽、綺麗だな。どうせなら浜辺で見よっか?」

 そう言われて頷くと、山岡さんは身体を離しアタシの鞄を持って来てくれた。アタシは鞄の中から着替えを取り出すと、急いで身に付ける。そして山岡さんと二人でコテージの前の砂浜へと出てみた。日中の射す様な日差しはなく、潮の香りをふんだんに含んだ風が肌を撫でて心地がいい。アタシ達は流木に腰を下ろすと、ゆっくりと海へ沈んでいく夕陽を眺めた。

「そう言えば他の皆さんは?」

 アタシがそう尋ねると、夕食の準備中だと答えが返ってくる。

「えっ!? それじゃあ、手伝わないと!!」

 のんびり夕陽を眺めている場合ではない。そう言う事は新入社員であり、女子であるアタシがやらなければいけない事なんじゃないかと、慌てて腰を上げる。すると山岡さんはアタシの腕を掴み、「いいから座りなよ」と促した。高槻室長に、後で嫌味を言われないかとヒヤヒヤしながらも、アタシは言う通りに山岡さんの隣に腰を下ろす。

「大丈夫だよ。今、部長と室長が魚を捌いてる。モリリンは魚は捌ける?」

「いえ……出来ません」

「じゃあ、二人に任せておけばいいよ。それよりも、戻ったらシャワーを浴びてさっぱりしなよ。何なら、俺が洗ってあげてもいいけど?」

「いやいやいやいや! それは自分で出来ますからっ!!」

 山岡さんの言葉にアタシが慌てて答えると、山岡さんは喉の奥でククッと笑いながら、「残念!」と言って片目を瞑った。

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