おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第51章 【番外編】真夏の出来事(その2)。
「ひょっとして……アタシはこの為に連れて来られたんでしょうか……?」
アタシは次々に自分の身体に盛られていく料理を見下ろしながら、室長に尋ねる。高槻室長は手を動かしながら、アタシの質問にこう答えた。
「いや、この為だけに連れて来たワケではない。人付き合いが苦手な君と親睦を深める為だ。この為だけなら、どこかの旅館にでも泊まってコンパニオンでも呼んだ方が手間が掛からん」
最近では、海外にある日本料理店がこの様なサービスを行い、「日本の伝統文化」だと紹介され物議を醸しているらしい。いつ頃からの文化なのかは定かではないし、本当に行われていたのかすら分からないらしいけれど、室長が言うには昭和の時代には秘密裏にこの様なサービスを行う旅館や料亭はあったそうだ。それって、室長のお家がお金持ちだから、特別にサービスして貰っていたんじゃないだろうか。
「馬鹿を言うな。私は見た事がないし、知らない女の肌に触れた食べ物を口にする気など、おこるワケがないだろう?」
室長はそう言いながらも、せっせとアタシの身体の上に色々と盛り付けていく。
「刺身は盛り付けなかったかも知れないが、江戸時代には馴染の遊女とのお遊びで近い事が行われていたらしい。心と身体を許した相手だから出来る事なんだろうと、私は思う。私が何を言いたいのか、意味は分かるな?」
そう言われても、アタシにはさっぱり分からない。衛生上の問題を言えば、フィルムを敷けば問題ないだろうし。そう答えると、室長は深い溜息を吐いた。
「衛生面を言っているのではない。心の問題を言っている。私達は君に心を許していると言う事だ。「森脇珠子」だから、だ。少しは察して欲しいな」
「あ……」