おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第51章 【番外編】真夏の出来事(その2)。
「大丈夫だよ。汗くらいだと完全には溶けないから。ビショビショに濡れれば別だけどね?」
そう言って平川さんがニコリと笑う。まあ、オモチャに使う特殊な素材を開発している、我社の事だ。そう言う素材も作っているのかも知れない。
お皿を洗い終えたアタシは、サバゲ―に参加する為、並べられた服を一式受け取ると、着替える為に部屋に戻った。でも、渡された時に言われた「下着は着けるな」ってどう言う事なんだろう。頭に疑問符を浮かべながらも、下着を脱ぎTシャツとズボンに着替える。結構、涼しい素材だ。そして、林の中を走っても大丈夫な様に、予め持参する様に言われていたブーツに履き替えると、再びリビングに戻った。
既に皆さんは準備が出来ていたみたいで、わいわいと武器を手に構えて遊んでいた。昨日、川上さんと平川さんを襲撃した、何とかキャノンは川上さんが持っている。武器はどうやらくじ引きで決めた様だ。アタシには扱いが簡単で、射程距離が長い武器を渡された。ホースみたいに細長い見た目だけど、こんなので本当に水が飛ぶのだろうか。
「馬鹿にしちゃ駄目だぞ。それ、二十メートルは飛ぶんだからな?」
「ええっ!? それって、そのキャノンと同じくらいじゃないですか!?」
「そうだぞぉ。だから馬鹿に出来ないよ? 使い方は簡単だし、モリリン向きだよ。この銃口を水に浸けて、トリガーを引っ張るだけで水が入るから。簡単だろ?」
山岡さんはそう言って、水を入れて見せてくれる。アタシはそれを受け取ると、他の皆さんが待つ庭へと出た。遅れて山岡さんがやって来て、全員が揃った。参加者は坂内部長以外の皆さん。高槻室長も参加をするのかと、ちょっとだけ驚いた。こう言うゲームを愉しむ様には見えないんだけど。部長は「見学」だそうだ。見学と言っても、林の中に入ってしまったら、見えないのではないだろうか?