
おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第51章 【番外編】真夏の出来事(その2)。
暫く歩くと、苔生した岩が積み上げられた様な場所に出くわす。よく見れば、その表面は湿っていて、チョロチョロと水が流れていた。その流れる先を辿ると、水が溜まっている。これが部長の言っていた「湧き水」なのだろうか。地面からも水が微かに湧き出ているらしく、砂がポコポコと押し上げられていた。
(取り敢えず、水辺は確保! あとは近くに隠れられる所があれば……)
辺りをキョロキョロと見回しながら、隠れる場所を探す。けれど、近くにアタシの身体を隠してくれそうな場所はなかった。仕方が無いので、少しでも目立たない様に、岩に背を向けて腰を下ろす。これで背後から狙われる事はない。
未だ、誰もお互いと遭遇していないのだろうか。声は聞こえてこない。そんなに広い林でもないのだけれど。それでも、木が立ち並んでいて見通しが良いワケではないから、他の人達の姿は確認する事は出来なかった。
(はぁ……。ドキドキするなぁ……)
いつ、誰が襲って来るかも分からない緊張感に、心臓が早鐘の様に鳴る。水鉄砲を持つ掌にジワリと汗が滲む。なるべく身を小さくして縮こまり、辺りを警戒していると、遠くの方で「くっそ!」と短い声がした。声音から察するに下出の様だ。どうやら誰かに襲撃されたらしい。しかし、このゲームでは全てが溶けてしまうまでは、どこを撃たれても負けにはならない。下出は逃げているのだろう。ザッザッと地面を蹴る音が聞こえた。その音は、段々こちらに近付いて来る。
(えっ!? ちょっ!? まさか、こっちに来ないよね?)
場所を変えた方がいいのだろうか。見つかったら攻撃の矛先は、間違いなくアタシに変わるに違いない。逃げるのが早い男の足よりも、鈍足なアタシを狙う方が楽だもの。逃げるべきか留まるべきかを悩んで、腰を上げたりキョロキョロしている内に、下出の姿が木々の間から見え隠れして来て。その後ろに、川上さんがキャノンを構えて、追い掛けて来ているのが見て取れた。顔には喜々とした表情を浮かべて。
(うわー……。楽しそうだなぁ……)
なんて、呑気な事を思っている場合ではない。見つかったら絶対にヤバイ。やはり、この場に居るべきではない。そう思って腰を上げた時だった。
