おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第10章 山岡一徹と言う男(その1)。
「そうそう。一緒に働く仲間なんだから、緊張しないで?」
平川さんはそう言ってニコリと笑ってくれるけれど、そのキラキラの笑顔が、アタシをより緊張させるのだ。
平川さんの顔を見て固まったアタシに、何かを察したのだろうか。山岡さんが、「ひょっとして、モリリンってイケメンが苦手?」と尋ねてきた。
その通りだとばかりにコクコクと何度も頷くアタシ。それを見て、三人は目をぱちくりとさせて、不思議そうに顔を見合わせる。
そりゃあ、そうだ。普通だったら朝っぱらから、こんなイケメン達に囲まれて、ウハウハのテンションMAXになってもおかしくない状況なのに。アタシときたら、身体を強張らせて俯いているだけなんだもの。
イケメンさんには悪いところはございません。悪いのはアタシでございます。アタシの著しく低い、コミュニケーション能力のせいでございます。やはり、アタシにはこの部署には不向きでございます。
(やっぱり、辞めよう……。こんな状態では仕事なんて出来ないし、迷惑をかけるよね)
そう思ったアタシは、くるりと「回れ右」をすると、部屋を出ていこうと歩き出す。そのアタシの腕を山岡さんの手が掴んだ。