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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第10章 山岡一徹と言う男(その1)。


(ん? って言うか、"モリー"とか"モリリン"って何?)

 そう思って、川上さんの顔をジッと見ていると、川上さんはアタシの視線に気付き、「何かな?」と言って小首を傾げる。ああ、何だか可愛いな、こん畜生!!

「あの……、さっきから"モリリン"とか"モリー"とかって、誰の事ですか?」

 アタシがそう尋ねると、川上さんが「やだなぁ、君の事じゃないのぉ」と言って笑った。"森脇さん"じゃ固いから、ニックネームを付けようと、思ったそうだ。

 「因みに下出君は、"シモ"に決定済だよ」と言って、お二人が笑う。そんなに面白いニックネームでもないと思うんだけど、何だか楽しそうだ。

 でも、何でアタシだけ、一つに纏(まと)まってないのだろう。まあ、どうでもいいかな。好きに呼んでくれれば。だって、可愛い感じがするし。

 今までニックネームなんてつけられた事がない。呼ばれる時は、"ブス"とか、"おい"とか、"アンタ"、"お前"なんて、ニックネームとは程遠い、ものばかりだったから。

 だから、可愛らしい名前で呼ばれるのであれば、何と呼んで貰っても構わない。

 「俺達の事は、"ヤマちゃん"と"カワちゃん"って気軽に呼んでね」と言って山岡さんが、バチーンとウィンクを決める。こういうところは、やっぱりチャラいんだな。

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