
おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第10章 山岡一徹と言う男(その1)。
山岡さんと川上さんは、本当に仲が良いらしく、二人でキャッキャッと燥(はしゃ)ぎ合っている。
男の人同士でも、戯れたりするのね、なんて思いながらお二人を見ていると、トレーにマグカップを乗せた平川さんが戻ってくる。そして、その後ろから高槻さん、そして下出が続いて入って来た。
皆さんが勢揃いされて、アタシはどんな顔をしていればいいのか分からなくて俯いてしまう。だが、アタシのそんな態度を気に止めた様子はなく、高槻さんは、「朝礼を始めるぞ」と言った。
朝の挨拶をし、それぞれが自分の業務の進捗状況の報告と、本日のノルマを高槻さんに報告する。高槻さんは、それに対し、的確な指示を出す。高槻さん自身も今日の予定を皆さんに伝えた。毎日の朝礼は、こんな感じで簡単に終えるらしい。
そして朝礼が終わると、アタシは高槻さんに呼ばれた。出社したと言うことで、勤続するのだと判断し、研修担当をつけると言うのだ。しかも、二人も。
高槻さんは、アタシにそう説明すると、山岡さんと川上さんを呼び寄せる。どうやら、このお二人がアタシの研修担当になるらしい。
唯、二人が付きっ切りで面倒を見てくれるのではなく、交代で。人数の少ない部署で、それぞれの役割が決まっている。だから、一人がずっとアタシに構っている暇はないのだ。
