おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第11章 試着室の中で。
店長さんの手が、アタシのブラウスの前身頃をバッと開く。色気のないブラジャーが、店長さんの目の前に晒される。ブラジャーのカップは、山岡さんが仕込んだオモチャの為、歪(いびつ)な形をしていた。
「珠子ちゃん? これは、なあに?」
店長さんは、ブラジャーの上からオモチャを掴むと、それを左右に揺すった。振動こそしていないが、オモチャが、胸の先を擦り上げると、アタシの身体はビクンと跳ねる。
「これを仕込んだのは……ヤマちゃんかしら?」
そう言いながら店長さんは、オモチャの形を確かめるように、指先でそれをなぞる。そして、ブラジャーのカップの縁に指を引っ掛けると、それをゆっくりと下へずらした。ガムテープでアタシの身体に固定された、ペン型のローターが姿を現す。
もう終わりだ。アタシは「変態の烙印」を押されるんだ。どんな嘲(あざけ)りの言葉を言われるのだろうか。店長さんに顔向けが出来なくて、アタシは顔を背けると、唇を噛んで、ギュッと目を瞑る。
しかし、いつまで経っても店長さんの口からは嘲りの言葉は、吐き出される事はなかった。寧ろ、それを外してくれたのだ。そして、「可哀想に、ヤマちゃんにされたんでしょ? 私が後で彼を叱ってあげるわ」と言ってくれたのだ。