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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第12章 川上達哉という男(その1)。


 「初めての時」は、一度しかないのだから、出来ればアタシに好きな人が出来て、その人と結ばれて欲しいんだそうだ。

(う~ん……。言ってる事とやってる事が違くない?)

 そう思ったのだが、山岡さんも店長さんも、気持ちが昂っても下出の様にアソコに入れようとはしなかったから、本心なんだろうと思う。

「なんなら、俺が立候補しちゃおうかな? 今、フリーだし」

 山岡さんはそう言ったが、アタシは取り敢えず丁重にお断りをしておいた。だって、未だよく分からないから。山岡さんも山岡さんで、多分、本気ではなかったのだろう。あっさりと引き下がったし。それはそれで傷付くんだけど。

 アタシが身体を休めている間、店長さんは、選んだ服をショッパーに詰めてくれ、「いつでも遊びに来てね」と名刺をくれた。

「あの……、洋服代は……?」

 アタシが財布を出して、そう尋ねると、店長さんと山岡さんは笑って、「心配する事はないよ」と言う。そういうワケにはいかないと言うと、「経費で落ちるから」と山岡さんは言った。

 まだ、よく分かっていないアタシは、そう言う物なのかと納得し、財布をしまった。そして、アタシの体力が回復し、歩ける様になると、山岡さんとアタシは、頼子さんのお店を後にし、会社へと戻ったのだった。

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