おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第12章 川上達哉という男(その1)。
「昨日の今日でさぁ、エッチな事に興味は湧いた?」
顔を覗き込まれて尋ねられると、アタシは昨夜自分がしてしまった事を思い出して、顔が熱くなった。
「あれあれぇ? 赤くなったって事は、興味が湧いてるって事かなぁ?」
そう言ってニヤリと川上さんが口の端を歪める。のほほんとした普段の雰囲気と打って変わって、悪い顔だ。川上さんてこんな顔もするんだと、アタシは心の中で驚いた。
「ねぇねぇ、昨日の夜、自分でしちゃったりした?」
好奇心なのか、それともアタシを揶揄(からか)う為なのか、川上さんが意地悪な質問を投げかけてくる。そんな事、恥ずかしくて答えられるワケないじゃないか。
なのに、川上さんはしつこく尋ねてくる。こんな時、慣れている女の子なら、冗談でかわすのだろうが、アタシにはそのテクニックがない。
だから、黙ってしまうのだ。川上さんは、それを察っすると、意地悪をし過ぎたと謝ってくれた。そして、今度は一方的に話し始める川上さん。
「俺さぁ、モリーはもう少し自分に自信が持てたら、少しは言いたい事が言えるようになるんじゃないかなぁと思うんだよねぇ」
「折角、ヤマに可愛くして貰ったんだし、自信を持っていいと思うんだよねぇ」
棚の商品を手に取って調べながら、川上さんは淡々と独り言の様に話している。