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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第12章 川上達哉という男(その1)。


 アタシは皆さんに期待して貰っているのだろうか。何故、ここまでしてくれるのだろうか。何か裏があるのかな。そんな事を考える。

 人の好意を素直に受け止められないアタシ。だって素直に受け止めて、傷付くのが怖いから。だけど、人を信じたいという気持ちも、心の奥底にはある。

 全く誰とも関わらないで生きていくのは殆ど不可能に近い。無人島でもない限り、誰かの手に依る恩恵を受けて、アタシ達は生きている。

 誰かが作った物を食べ、誰かが作った服を着て、誰かが作った家に住んでいる。生きて行くには、必ず誰かとは関わらなければならない。

 今は両親が健在で、彼等に頼る事が出来るけれど、悲しい事に余程の事がない限り、先に生まれた者が先にこの世からいなくなる。

 両親が他界した後、誰とも関わらずに一人で生きていけるのかと考えると、恐らく無理だ。寂しいから誰かと関わり合いたいというワケではなく、誰かに頼らなければならない時に、周りに頼れる人がいないと自分が困るから。だから、他者との関わり合いは、どうしても必要なのだ。身勝手ではあるけれど。

 それが分かっているから、アタシはちゃんと他人と向き合いたいと思っているのだけれど、それが上手くいかない。上辺だけを取り繕って付き合っても、心が擦り減るだけだ。

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