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短編集2

第3章 万華鏡

そのままずっと気まずい関係が続いて遂に俺の中から一輝の存在は消えてしまった。






「わっ....」






カシャンと音がして、そこを振り返ると2人の女子学生と一輝の姿。






おそらく一輝がぶつかったのだろう。



ものすごい勢いで頭を下げながら落とした筆箱を拾っている。




長ったらしい前髪に分厚いメガネ。
細っこくて小さい身長にもじもじと自信のなさそうな態度。



たまたま見かけただけなのに、その全てが俺をイラつかせる。



少し立ち止まっていると周りを囲んでいた派手系なやつらがクスクスと笑始めた。





「でたよ、根暗でダサ男の一輝くん。」




「まじだっさ。」





クスクスという笑い声が聞こえたのか一輝がゆっくりとこちらを見る。




そして俺を見つけた瞬間、その分厚いレンズの奥の瞳が優しく細まった。






いつもそうだ、俺がどれだけ一輝を相手にしなくても俺を見つけるとあいつは必ず笑う。





それはそれは嬉しそうに。









「おい、あいつ深夜のこと見てね?」


「うわー、身の程知らず。」




なおも止まらない悪口に俺は






「さっさといくぞ。」






それだけ告げて一輝から目をそらした。

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