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teardrop

第7章 7滴

藤沢は成宮の手にある飲みかけのジュースを見ると、パッと取り上げる。

成宮が「ああ!それはっ…」と言って取り返そうとしたが既に遅く、藤沢はゴクゴクと飲みほした。

「ちょうど喉、渇いてたんだ」

満足気な藤沢。

成宮は空になった容器を見ながら呆然とした。

「…あぁぁ…何すんだよ!陽斗っ!」

普段、温厚な成宮が豹変した事に驚く藤沢と松本。

「何だよ…んな怒るなって…悪かったよ…新しいの買って返すからさ」

珍しいほど、素直に謝る藤沢。

しかし、成宮は「他のじゃダメなんだっ!これじゃなきゃ!」と力んで言う。

「このジュースはなぁっ…このジュースは…これは…特別…だったのに…」と力が抜けてくように沈んでいく声。

「おい、ナリ?…何かよくわかんねーけど悪かったって」

困り果てる藤沢。

「ナリ君、特別って何なの?」

松本の質問に藤沢も「何だったんだよ?」と聞く。

しかし成宮は理由を思い出すと言えずに顔を赤くする。

…が、藤沢の顔と空の容器を見て興醒めするように元に戻る顔色。

「いや、何でもない…もう、いいんだ…」

成宮のおかしな様子に藤沢と松本は心配をしたが、成宮は「ちょっと暫く、ソッとしといて…」と言うと、また机に顔を伏せる。

よくわからないまま、藤沢と松本は昼休みを終えて教室へ戻って行った。

教室には何事も無い様子の透花がいて、松本は安心した。

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