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teardrop

第3章 3滴

透花の母は自分の幸せと体裁しか頭にない人だ。

母にとっての透花は若い時の過ちでできた子。

母はまだ若かった頃、当時付き合っていた男と将来、結婚の約束をしていた。

しかし、妊娠して喜んだのは母だけ…。

男も母と同様にまだ若くて妊娠を知ると他に女を作り、籍も入れぬ内に一方的に別れを告げて母から去っていった。

その頃にはもう堕胎する事もできず、母は仕方無く未婚のまま透花を産んだ。

妊娠をしたせいで男には逃げられ、未婚の身でありながら子持ちになった事で幸せな家庭を持つ夢も失った。

そして、まだ赤ちゃんだった透花を見て彼も夢も失ったのはこの子のせいだと思うようになり絶望した。

そんな絶望から救ったのが今の父親。

父は母の夢を叶え、二人で理想の家庭を築いた……透花の事は除いて…。

こんな話を透花は小さな頃から何度も母親から聞かされていた。

夫婦喧嘩をした時、母が幸せ自慢をする時、透花を怒る時…様々な場面で所々、聞かされてきた。

透花は今までは血の繋がった親子なんだから、いつか解り合えるなんて幻想を抱いてた。

そんな思いさえも打ち砕かれたように思った。

『あんな…あんな人、母親じゃない!私の事なんて何も考えてくれない!…昔からそうだ…今だって…』

悲しみと怒りで泣き続けた。

いつしか泣き疲れ、透花は眠っていた。

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