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teardrop

第3章 3滴

静かになった家の中で、透花は着替えていた。

脱いだ服は父に掴まれた時に伸びている。

透花はまだ片付いてないリビングへ行き、自分がした事を思い出しながら見渡す。

そして、おもむろに片付け出した。

父が帰ってくればまた暴力を奮われるのはわかっていても、透花はそれはそれで仕方ない事と思い込む癖がついている。

幼い時から父親の暴力や力に勝てるワケがないのは知ってた。

自分が愛されてない事も。

そんな親であっても育ててもらっている身。

見離されれば自分は生きていけないと思って透花は今まで嫌な事も我慢したり、従ってきた。

元より父の怒鳴り声を聞いただけでも恐怖心で体中に緊張が走り反抗も出きない。

けれど、この日の透花はいつもと違う。

突然、頭の中に『そんな事するより、今すぐこんな家から逃げなきゃ!』という、暗示のような強い思いが沸き上がる。

台所のカウンターに置いたままの母親の財布が目に止まる。

透花は思わず財布の中の現金を抜き取って、そのまま家を飛び出していった。

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