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teardrop

第3章 3滴

透花は藤沢にそう言われるまで家出をしたという自覚はなかった。

ただ、衝動的に逃げてきただけ。

「そっか。これって家出になるんだ…」

初めて家出したと気付いて少し呆然とした。

藤沢が「様子が変って思ったら、やっぱりか…つーか、何で家出なんてしてんだよ」と透花に聞く。

透花が返答に困ってると、松本が代わりに答えた。

「家出の定番と言えば親と喧嘩でしょ?俺も家出はよくするんだ。でも、腹減るから飯の時間になったら帰っちゃうんだけどね。だから、一日で二回家出してやった事もあるぜ」

明るく話す松本に対して藤沢は即座に「それは家出じゃねーよ…」と冷静に答える。

松本はそんな藤沢の言葉を気にせず話し続けた。

「俺の母ちゃんなんて、俺が家出しても心配するどころか気にもしてないんだぜ。酷くね?それでも親かよって…」

藤沢は普通に「気にしてないんじゃなくて、すぐ帰るから気付いてないだけだと思うぞ」と意見した。

それでも松本は透花に向かって言う。

「トーカちゃんが女の子だし、やっぱ親は心配してんじゃないかな?…家出しても気付かない俺の薄情な母ちゃんと違って」

『あんな親が、私なんかを心配するワケがない』

透花はそう思いながら黙っていた。

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