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teardrop

第3章 3滴

透花は今まで、普段から親と喧嘩なんかした事もない。

親という存在は透花にとって、絶対的な権力者。

そんな親に対して怒ったり反論するなんて事は有り得ないし、親子で言い合うとか喧嘩さえもした事もない。

反抗せずに言うことをきくのが当たり前と思って今まで生きてきた。

日常的に親の気分や顔色を伺って、逆らったりせず嫌な事も我慢するのが当たり前。

自分の分のご飯がないなんて事はよくあったし、母がヒステリーになったり父が暴力を奮うのも全て自分が悪いせいだと思ってきた。

けれど松本の親はいつも、ちゃんとご飯を用意して待っている。

松本だって、どんなに腹を立ててもお腹が空けば母親が作ったご飯を食べに帰っていく。

お互い喧嘩しようが腹が立とうが親子関係に愛情を感じる。


凄く羨ましく思えた。
そして、切ない気持ちになった。

今更だが、今日の自分の言動を冷静に思い返すと何だか信じられない気分になる。

あの時の自分はまるで自分じゃない自分のようだと感じた。

透花は初めて親に反抗し家出をしてしまった。

これから、どうしたらいいのわからない不安が沸き上がり出した。

それでもやっぱり、今はあの家には帰りたくないと感じる。

家族の顔を思い浮かぶだけで、不快感が透花の心を覆った。

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