テキストサイズ

捨て犬

第14章 食べたい?

翌朝
ちょっと不安そうなエミと
俺は一緒に出勤した


手をつないで
パン屋まで行くと
ちょうど
萩原のおばさんが店先に出ていた

そっとエミから手を放し
心の中で
『大丈夫だから頑張れよ』
って声をかけて
俺はおばさんに頭を下げた


簡単な挨拶をすませ
それから俺は
ちょっとだけ
おばさんと立ち話をした


エミは
言われたことをきちんと
やっているようで
いい人を紹介してくれたと
俺は
おばさんから礼を言われてしまった

エミを
無条件で雇ってくれたことに
俺から
礼を言わなきゃいけなかったのに。



おばさんの話を聞いて
エミの仕事ぶりには
ほっとしたけど

やっぱり
エミのことは心配だ


エミは
今朝もずっと俺に
べったりだったから。



それから
エミに仕事が終わったら
メールするようにと告げて
俺は職場へと向かった


ひとり
電車で揺られてると
どうしても
エミのことばかり
考えてしまう


俺に頼るエミも
俺に甘えるエミも
好き


抱きついてくれるのは
最高に嬉しい


けど

やっぱどっかで

そうしてくれる理由が
愛してるからじゃねぇってとこがさ




寂しいんだよな




うん

ストーリーメニュー

TOPTOPへ