捨て犬
第17章 もっと・・近くに
家までの帰り道を
2人でゆっくりと歩いた
エミは
ピッタリと俺に寄り添う
また
不安定な心を
癒そうとして
いるんだろう
「あっ…エミ
保険証どうした?」
「出さなかった…
萩原さんに
名前が違うの
バレちゃうから…」
「そーか…そうだよな
保険証ってさ
いつまで使える?」
「あと半年」
「うん・・わかった・・」
「・・・・」
なんだか
微妙な空気が流れた
俺も
エミも
言わないけど
不安でたまんなかったんだ
「エミ?」
「なに?」
「包丁で切った時も
左手だったよな?」
「・・・うん・・・」
「風呂、一緒に入ろうな
しばらくは
また俺が洗ってやるから」
「・・ん・・・」