捨て犬
第17章 もっと・・近くに
アパートに辿り着くと
なんだか
すげーホッとして
俺達はどちらともなく
ベットの上に向かい合って座り
俺は
そっと
包帯を巻いた
エミの左手を手に取った
「大丈夫?」
「うん」
「縫ったんだろ?」
「・・・ん・・」
「傷跡・・残っちゃうかな」
「・・・わからない・・」
「少し・・寝るか?」
「大丈夫・・
大丈夫だけど・・」
「ん?なに?」
「・・・・・」
「どうした?エミ?」
「キス・・・して」
必要とされてる?
エミは
俺を必要としてくれてんだよな?
なんにもできない
ちっぽけな俺なのに
エミは
すがりついて
離れない
俺、こんなんで
ごめんな?
俺
まだどっかで
不安で不安で仕方ないんだ
お前のこと全部
背負ってける自信なんて
ねぇんだ…
「カズマ
家に帰ったら
抱きしめてくれるって・・」
「あぁ、今からずっとそうする
そんで
エミが嫌って言うまで
キスしてやる
いい?」
「・・・・・ん・・」
そっとエミを抱き寄せて
キスをして
一度強く抱きしめてから
俺は
エミをベットに横たわらせた
そして
俺は約束通り
何度も何度も
優しいキスで
エミを包み込んだんだ
心の中で
「ごめんな」
と
「愛してるよ」
を
何度もつぶやきながら