捨て犬
第7章 して欲しくねーよ
「ただいまぁ~」
玄関を開けて
いつものように声をかけると
エミは玄関までやって来る
「おかえりなさい」
その言葉を聞いてから
靴を脱いで
俺はエミに
チュッとキスをする
でも今日は
キスをするふりをして
エミの唇を
ベロッと舐めてみた
「っんっ」
「あはは〜驚いたか?
いつも同じとは限らねーよ?(笑)」
「う、うん」
「あ、これ土産」
今日昼休みに買った本屋の袋を
俺は
なんかちょっと
ウキウキしながら
エミに差し出した
でもエミは
それを受け取らず
まるで俺の顔色を伺うように
不安そうな顔をした
「ほら、中見てみろよ」
「いーの?」
「あぁ、いーよ。
心配すんな
フェラしろなんて言わねーから」
「して欲しいの?」
「え?」
あ、なんかね
また会話おかしくなってねーか?
てか
してくれんの?
あ、いやいや
ややこしくなるからな。
今はダメだな、うん。
「して欲しくねーよ」
「うん」
「ほら、中見ろよ」
「うん」
部屋に入って
俺はいつもの場所に座り
タバコを吸いながら
妙に警戒しながら
本屋の袋を開けるエミを
観察した