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捨て犬

第9章 殴らないで

ホテルの部屋に入ると
エミをベットに押し倒して
馬乗りになり

エミの服を
むちゃくちゃに脱がせて
上半身を裸にし


俺は
エミの両手首をつかんだ



そんな俺を
エミはじっと見つめる



見んなよ!

そんなにじっと
こっち見んなっ・・・




思わず
エミの手首を握る手に
力が入った


どうしようもない
怒りみたいなもんと
どこにも
ぶつけられない想いが
俺の腹の中で
煮えたぎる


くそ・・・



くっそ・・


なんで
あんな男と



「な、殴らないで・・」




「え・・・」




「お、お願いします・・」





殴るつもりなんてなかった




どうしたかったのか
俺もわかんねーけど

どうしようもない感情が
そうさせてただけで


暴力ふるうつもりなんて

・・全く



俺の身体から
一気に血の気が引いた



「お、お願いっ・・します・・」



さっきまで
俺を見つめてたエミは
目を固く閉じて
顔をゆがめ
今にも泣き出しそうな顔をしていた



その時
はじめて気が付いたんだ


エミの全身が


小刻みに震えてることに







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