果てない空の向こう側【ARS】
第7章 ツバメ(和也)
次の日すぐ、荷造りをした。
もともと荷物は少ない方だし、足りないものはいつでも取りに帰れる。
ボストンバッグと紙袋いくつかに、荷物はまとまった。
雅「和也、用意できたか? 送ってやるよ。」
雅紀兄が、部屋のドアを開けて顔をのぞかせた。
和「いいよ、電車で行くから。」
俺は、雅紀兄に手を振った。
雅「さすがに重いだろ。俺、今日休みだから、遠慮するな。」
雅紀兄はそう言うと、荷物を全部ひとりでかついだ。
和「馬鹿力…。」
雅「なんか言った?」
和「いや、なにも…。」
雅紀兄は、玄関に荷物を下ろすと車を取りに駐車場に向かった。
俺が玄関で待っていると、智兄がおりてきた。
智「行くのか。」
和「うん。」
見上げると、青い空。
智「五月晴れだな。」
和「うん。」
軒下を見ると、ツバメの巣。
中はもう空っぽだった。
短くホーンを鳴らして、雅紀兄が車でやって来た。
和「行ってくるよ。」
智「おう。」
荷物を積み込んで、発進した。
智兄は、車が見えなくなるまで見送ってくれた。
俺も、一歩を踏み出す。
頼りない小さな羽根を広げて、青空のその先へ。
【ツバメ・和也】
もともと荷物は少ない方だし、足りないものはいつでも取りに帰れる。
ボストンバッグと紙袋いくつかに、荷物はまとまった。
雅「和也、用意できたか? 送ってやるよ。」
雅紀兄が、部屋のドアを開けて顔をのぞかせた。
和「いいよ、電車で行くから。」
俺は、雅紀兄に手を振った。
雅「さすがに重いだろ。俺、今日休みだから、遠慮するな。」
雅紀兄はそう言うと、荷物を全部ひとりでかついだ。
和「馬鹿力…。」
雅「なんか言った?」
和「いや、なにも…。」
雅紀兄は、玄関に荷物を下ろすと車を取りに駐車場に向かった。
俺が玄関で待っていると、智兄がおりてきた。
智「行くのか。」
和「うん。」
見上げると、青い空。
智「五月晴れだな。」
和「うん。」
軒下を見ると、ツバメの巣。
中はもう空っぽだった。
短くホーンを鳴らして、雅紀兄が車でやって来た。
和「行ってくるよ。」
智「おう。」
荷物を積み込んで、発進した。
智兄は、車が見えなくなるまで見送ってくれた。
俺も、一歩を踏み出す。
頼りない小さな羽根を広げて、青空のその先へ。
【ツバメ・和也】