テキストサイズ

果てない空の向こう側【ARS】

第7章 ツバメ(和也)

雅紀兄もビールを出して席に着いた。

みんなで、雅紀兄のお土産の餃子をつついた。

和「あのさ…。」

俺が切り出すと、みんなが俺を見た。

和「俺、この家を出るよ。」

翔兄が、ビールを吹き出した。

雅紀兄が、箸でつまんでいた餃子を落とした。

潤は、冷蔵庫のドアを開けたまま固まった。

智兄は、目を丸くしてた。

母さんは、黙って、俺を見つめていた。

和「城島先生の住み込みのアシスタントが辞めたんだ。代わりに、俺に来てほしいって言われた。」

潤「でも、和也兄はもうデビューしてるじゃん。プロの漫画家なのに、住み込みのアシスタントなんて、おかしいよ。」

和「確かにそうなんだけど…。通いのアシの中で俺が一番長いのと、実家暮らしだからマンション解約したりしなくてもいいから。」

翔「でも、自分の仕事はどうするんだ?」

翔兄は、俺の目をじっと見つめた。

和「デビューはしたものの、雑誌に載ったのはデビュー作だけだし…。次のネームも描いていかないと、連載とれないからね。

城島先生が、デジタル機材を自由に使っていいって言ってくれてる。環境を変えて、漫画に専念してみたいんだ。」

雅「住み込みは、和也にもメリットがあるって訳だね。」

雅紀兄が、うんうんとうなづいた。

智「もう、決めたんだろ?」

和「うん…。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ