果てない空の向こう側【ARS】
第9章 ベトナムの空の下へ(翔)
母「ねぇ、翔。ベトナムって遠いのかい?」
翔「んー、飛行機で6時間ちょっとかな。」
母「そうかい、ずいぶん遠いんだね。」
俺は晩飯の手羽先と大根の煮物にかぶりついた。
手羽先の脂が大根にしみて、うまい。
翔「遠いったって、ヨーロッパよりずっと近いよ。」
母「母さんは外国なんか行ったことないから、ヨーロッパまでの距離なんかわかんないわよ。」
味噌汁はなめこ。
つるんとした食感がのどに気持ちいい。
そうか、ベトナムに行ったら母さんの作った飯や智兄の朝の味噌汁も食えなくなるのか。
そう思うと、家を出るという実感が急にわいてきた。
翔「まあ、定例会議やなんかで年に2〜3度は帰ってくるし、電話もメールもあるから心配ないよ。」
母「そうかもしれないけど…。何年くらい行くんだい。」
翔「さあ…、とりあえず2年は現地になると思う。」
母「そうかい、2年かい…。」
母さんが小さくため息をついた。
俺は頭をかいた。
2年というのは、現時点の見通しであって、決まったものではなかった。
業績が悪ければ早期に撤退もありえるが、せっかく志願して行くのだからそれは避けたい。
翔「んー、飛行機で6時間ちょっとかな。」
母「そうかい、ずいぶん遠いんだね。」
俺は晩飯の手羽先と大根の煮物にかぶりついた。
手羽先の脂が大根にしみて、うまい。
翔「遠いったって、ヨーロッパよりずっと近いよ。」
母「母さんは外国なんか行ったことないから、ヨーロッパまでの距離なんかわかんないわよ。」
味噌汁はなめこ。
つるんとした食感がのどに気持ちいい。
そうか、ベトナムに行ったら母さんの作った飯や智兄の朝の味噌汁も食えなくなるのか。
そう思うと、家を出るという実感が急にわいてきた。
翔「まあ、定例会議やなんかで年に2〜3度は帰ってくるし、電話もメールもあるから心配ないよ。」
母「そうかもしれないけど…。何年くらい行くんだい。」
翔「さあ…、とりあえず2年は現地になると思う。」
母「そうかい、2年かい…。」
母さんが小さくため息をついた。
俺は頭をかいた。
2年というのは、現時点の見通しであって、決まったものではなかった。
業績が悪ければ早期に撤退もありえるが、せっかく志願して行くのだからそれは避けたい。