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果てない空の向こう側【ARS】

第11章 果てない空の向こう側(智)

深夜まで、あーでもない、こうでもないと銀粘土をこねた。

ようやく形が出来上がり、ドライヤーで乾燥させてからガスコンロの上の上で焼成した。

ヤスリもかけたし、まあまあの出来栄えだ。

窓を開けると、ひんやりした明け方の空気が一気に吹き込んできた。

かすかに空の端が赤くなり始めていた。

しばらく開けていく空をながめていたら、一筋の星が流れた。

智「生まれた…!」

俺は取るものも取らず、自転車に飛び乗って走った。

転げるように駆け込んだのは、みっちゃんがお産をしている産院だ。

入り口の案内板を見て分娩室の位置を確認すると、階段を駆け上がった。

分娩室前の廊下までたどり着くと、中から大きな歓声とともに、赤ん坊の泣き声がした。

智「ああ、ああ、生まれた…!」

俺はその場にへたり込んだ。

その時、分娩室のドアが空いてナースが出てきた。

「あら、五十嵐さんのご親族の方?」

ドアの隙間から見えたのは、赤ん坊を抱いて大泣きしている雅紀の姿だった。

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