テキストサイズ

果てない空の向こう側【ARS】

第5章 三男・雅紀(中華料理店コック)

潤は高校を出て美容師学校に通った。


美容師になるには資格がいるから、こればかりは致し方なかった。


その頃には俺も経済的に安定してきて、潤の学費を多少援助した。


当の潤は、美容師になってもオシャレな服屋で服を買ったり、流行りの飯屋で食事したりして。


ちっとも俺に金を返そうなんて気はないらしい。


まぁ、俺も今さら金を返してもらおうなんて思ってないけど…。


結局、俺以外はみんな望む進路に進んだ。


俺も、念願の料理人にはなったけど、いまだに貧乏くじを引いたという感覚は消えぬままだ。


まぁ、元来細かいことは気にしないたちだけど…。


兄弟みんなが社会人として自立した今、これから先は自分の幸せを中心に考えたい。


せめて、ミッチャンとの幸せな時間を誰にも邪魔されたくない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ