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果てない空の向こう側【ARS】

第1章 五十嵐家の朝

和「俺もそろそろ行くわ。」

和也は寝癖の髪のまま、漫画の原稿の入ったブリーフケースを提げて玄関に向かった。


智「気をつけてな。」


その時、玄関の引き戸が開いた。


母「ただいま!」


和「お帰り、母さん。」


母「あら和也、こんな時間に珍しい。どうしたの?」


智「出版社に行くんだってさ。」


母「あらそう、電車乗り間違えないようにね。」


和「わかってる。」


そう言うと、和也はかかとのすり減ったスニーカーを突っ掛けて出ていった。


母「みんなは?」


智「もう行ったよ。母ちゃん先に風呂に入れば?飯の用意しとくから。」


母「そうね、ありがと。」


母ちゃんは、そのまま風呂場に直行した。

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