方位磁石の指す方向。
第7章 scene 6
いつもより長いキスを終えて、
二宮の白い手を握った。
…冷えてんじゃん。
「手、ガサガサじゃん。
…ハンドクリームは?」
「…持ってるわけないでしょうが。」
「雅紀ならもってるけど?」
「っるさい!相葉さんと比べるなぁ…」
ほっぺたを膨らませて
俺を睨む二宮。
…ふふ、ムキになるところ可愛い。
「じゃあ今から薬局行くかあ…」
「えっ、」
「やだ?」
「…やだ、くはないけどぉ…」
「じゃあ行こう」
二宮の手を半ば強引に引いて
ふたりでゆっくり歩いた。
隣の二宮はずーっと顔を赤くしてて。
たまに俺の方をチラチラ見てた。
それに気付かないフリして
わざと二宮と繋がってる手を
恋人繋ぎにしてみたり。
…ふふ、
反応してる。
「…翔さ、」
「…ん?」
「薬局って、あれだよね?
…リップとハンドクリーム買うだけだよね?」
「そうだけど?
なんか他に欲しいものあった?」
「や、なんでも…」
…顔赤くなってる。
それは、寒さだけのせいじゃない。