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方位磁石の指す方向。

第7章 scene 6

櫻井side



「あっ、やばいっ」

「ん?どうした?」

「智から…連絡入ってた…
ええっと…どうしよ、

翔さん、今日のところは帰るねっ」

「ん、気を付けてな。」

「っえ、」

「え?」


二宮はじっと俺の方を見てた。

…え?……あー…。


「…送る。」

「やったぁ。っふふ、翔さん大好き」

「(可愛すぎかよ)」


二宮の手を取り、
玄関から出て、他愛もない話で
盛り上がっていた。


「寒い、」

「二宮が細いからだろ。
ちゃんと食えよ?」

「たっ食べてる!
ちゃんと食べてる!」

「そのくせしてちいせぇ。」

「っ!ばあか」


ぷっと頬を膨らませて、
俺にくっついてきた。


「…歩けないんですけど?
二宮さん?」

「……たくない。」

「え?」

「帰りたくないの!」

「智くんに怒られるよ?」

「…でも、」

「今日は帰ろ。
心配してるから。」

「…やだ、」

「にーのーみーやー」

「…もうちょっとだけ、
翔さんといたい。」

「…仕方ねぇなあ…」


俺はとことん二宮に甘いな、
なんて思いながら
小さくて子供みたいな二宮の手を
優しく握った。

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