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方位磁石の指す方向。

第7章 scene 6






「さむっ」

「帰る?」

「っそれはやだ!
翔さんといたいっ」

「(…マジなんなのこの子。可愛い)」


ひとりでニヤニヤしながら
二宮に買ったコンポタの缶を投げた。


「っわ、熱っ!」

「俺の奢りな。」

「…ありがとう。
…っふふ、恋人みたい。

こうやって夜、一緒に公園に
いるのとか、お互いの家に行くのとか──…」

「ばーか。
恋人だっつーの」

「あ、そうか。へへ、」


えへへって二宮が
白い息を吐きながら
俺の方に寄り添ってきた。

…今日はなんだか素直な日だな。


「…帰りたくないなぁ。」

「俺も」

「…一緒に暮らしたい。」

「え、それはやだ」

「えー、なんで」

「ずっと一緒にいたら俺、
理性もたねぇ」

「なっ…!!」

「これでも健全な
男子高校生ですから(ニヤニヤ)」

「っ…///」


あ、黙った。

そんな二宮の頬に触れたら
「つめたっ」って
びっくりして顔を上げたから。

首を傾けて優しくキスした。


「あ〜っ、もうーっ!!」

「っふは、可愛いなぁ、ほんと…」

「…今日の、アレ…」

「ん?どれ?」

「翔さん家に行ったとき、
俺、襲われるかもって思った…」

「っはは、んなわけないじゃん。」


だって、好きな人は大切にしたい。

俺なんかで汚したくないんだって。


「…なんで?
俺のことそこまで好きじゃない?」

「ばーか。逆だよ、真逆。
…好きだから、大切にしたいの。」

「…そっか。」


マフラーで隠れて
表情がうまく読み取れないけど
顔真っ赤だな。多分。

可愛いヤツめ。

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