方位磁石の指す方向。
第7章 scene 6
「帰るかぁ…」
「えっ、もう?」
「だってお前、
夕飯の時間じゃねえの?」
「…まだいい、」
「だめ。帰るぞ」
「…ちぇっ」
「あ、今舌打ちしたな。」
「…キス、」
「ん?」
俺の服の袖をくいっと引っ張って
上目遣いで俺を見てくる。
…可愛い。
だから意地悪したくなるわけで。
「二宮が帰ったらね」
「むー…。帰る!」
「いいこいいこ。」
二宮の頭を撫でたら、
気持ちよさそうに
目を細めて俺を見る。
そんな二宮の姿を見たら、
ほんとに抱き潰したくなって。
「…翔さん…」
「ん?」
「家、過ぎてる…」
「あ、ごめんごめん。
じゃあまたな。」
「キスっ!」
「してやるから。
そんな大きい声で言わないの。」
「んふふ、」
二宮の肩に手を置いて、
いつもより優しくキスをした。
唇を離したあと、
二宮の頬を優しく撫でた。
「…大好き」
「え、じゃあ愛してる」
「超愛してる」
「くっそ愛してる」
「くっそって…んふふっ。
俺もくっそ愛してる」
「ふふ、またな。」
「うん、」
二宮の頭を撫でて、
手を離したら名残惜しそうな顔して。
「またすぐ会えるから。」
「うん…」
「じゃーな」
「うん、」
できるだけ二宮を見ないようにして
また来た道を戻った。