
方位磁石の指す方向。
第7章 scene 6
「むう〜…」
寝不足だ。
ものすごい寝不足だ。
翔さんのせいだ。
こんなに眠いのも、胸が苦しいのも。
「二宮、智くん、おはよ」
「あ、翔くんおはよぉ〜」
「おはよ。翔さん」
翔さんの顔を見ると、
昨日のことを思い出しちゃうから。
目を逸らしてしまった。
「……」
「しょ、翔さん…?
言いたいことあるなら、言ってよ…っ…!?」
急に引き寄せられて、
心臓が跳ねる。
飛び出しそうなくらい、
バクバクしてる。
「なーんか、冷たくね?」
「そっ、そんなこと…」
「うっそだぁ。
じゃあなんで目ぇ合わせてくんねえの?」
「そっ、れ、はっ…」
顔なんか見れない。
こんな至近距離で
見れるはずがない。
噛み噛みで、自分でも引く。
「…なんかあった?」
優しく問い掛けられるように
耳元で聞かれたけど…
"原因アンタだよっ!"
なーんて、言えるわけもなく…
「っ、もう!離して!」
「ぅおっと、…危ねーわ」
ドクドクと脈を打つ早さが
だんだん早くなる。
顔も赤くなる。
体が熱い。
恥ずかしい。
相葉さんと智が先に行ってくれてたから
よかったものの。
「こんなとこで抱きつくとか、
非常識すぎる…」
「仕方ねぇじゃん。
抱き締めたくなったんだから。」
…自己中。
