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方位磁石の指す方向。

第7章 scene 6






それとも…って言葉を続ける。

「ドキドキ、した?」

なんて。


一気に顔が熱くなって、
どうしようもなくて。

立ってらんなくて、
翔さんの方に寄り掛かれば。


「…ふふ、かーわいいヤツ。」

「ぅるさい…」


翔さんから顔を逸らせば
頬をぐっと掴まれて
無理矢理翔さんの方に向かされた。

直視できないほど
整った顔。

吸い込まれそうな瞳と
思いっきり目が合ってしまう。


「っ…!」

「なーに赤くなってんの。ふふ、
ほんと可愛いなぁ。お前は」


ニヤニヤしながら
俺の隣をキープしてる。


……あー、もう。

ほんと朝から、
心臓に悪いってば…


「…ばぁか」


ぽつりと呟いた声は
自分でも聞こえないくらい小さかった。




学校に着いても、
授業中でもお昼でも。

翔さんのあの整った顔が過ぎって
上の空のまま。

挙げ句の果てには、
先生に怒られて雑用ってね…


俺が悪いんじゃなくて、
あんなことする翔さんが悪いのにー…


なんて、ぶつぶつ言いながら
資料を棚に戻していた。

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