方位磁石の指す方向。
第7章 scene 6
「で?どうしたの」
「会いたかったんだけ」
…って、さっきも言ったような気がするけど…
翔さんの顔をじっと見てれば
察してくれたのか。
ちゅ…と小さな可愛らしい音が響いた。
「ふ、ん…」
俺がその声を出したら、
手を握られる力が一層強くなって。
びっくりして目を開ければ
綺麗な顔の翔さんが当たり前だけどいて。
きゅん、としつつも
キスに集中しなきゃ、って。
思うのに…。
目を瞑るタイミングを
すっかり見失ってしまい、
結局目を開いたままで。
キスが終わる直前に、
翔さんから目線を逸らした。
「…はっ、っえ、ぅあっ…」
ベッドに押し倒されてびっくりしてたら、
雄の顔した翔さんがいて。
なにも言えずにいたら、
噛み付くようなキスをされて。
合間に漏れる吐息が、
妙に雰囲気を際立てていて。
……翔さんがシたいなら…
翔さんがシたいなら
俺はどうなってもいいから。