方位磁石の指す方向。
第7章 scene 6
蒸れた瞳が
俺を捉えて離さない。
薄く開いた唇から出てくる吐息は
俺を誘っているかのようで。
"この先に進みたい"
そう思うが、
自分の欲望を二宮に
ぶつけることなんて出来ず。
今はまだ、
この華奢な肩を
抱き締めているだけでいい。
この瞳を独占しているだけでいい。
それだけで満たされる。
それ以上なんて、
望めない。…望んじゃいけないんだ。
「ふっ、ぁう、」
…口から出る声は、
女子そのもので。
すべすべの太股に自身が擦れる度、
繋がってると錯覚してしまう。
あぁ、好きだ。
どうしようもないくらい
俺は二宮が好きだ。
なんでこんなに
好きなのかわからない。
どうしてこんなにも
依存しているのかわからない。
なんでこんなに…愛おしいんだろうか。
「翔さっ…ぁ、あっ。」
「もっともっと、
ヨクしてあげるから…」
俺色に染めてあげる。
真っ白なところなんて
ないくらいに。