方位磁石の指す方向。
第8章 scene 7
胸がきゅんきゅんする。
会いたがってる。
体が翔さんを欲してる。
…あぁ、考える度、
逆上せるように熱くなる。
頭が沸騰しそうだ。
「……かーず?」
「…あ、ごめんっ。
なんだっけ…?」
「バイト、どうなった?」
「あ、えとね…していいよって。
智は言ってくれたけど、
翔さんは。ビミョーで…。
で、でもさ、いいよ!
どーせ翔さんには会えないし……はは、」
「和…」
やだなぁ、もう。
なんで潤くんが
そんな悲しそうな顔してんの。
「…バカ。」
「なっ、」
「こんなんなるまで、
翔さんが好きなんだ?」
「っ…」
「…こんなに傷付いても、
まだ翔さんがいいの?」
「…なんで、そんなっ…こと…
そんなこと、ない…から」
…あぁ、バッカだなぁ。
「辛、かった…
会えないの、やだ…」
はらり、と涙が零れて
潤くんに抱き着きたい衝動に駆られた。
…だけど。
だめだ。
いつまで経っても
潤くんの優しさに甘えてばっかじゃ
だめなんだ…。