方位磁石の指す方向。
第8章 scene 7
「…ねぇ、」
「ん?」
二宮が擽ったそうに
俺を見上げた。
「…か、簡単に、その…
他人(ひと)に触らせたりするなよ?」
「?…どこを?」
「こ、こーやって、
手を握ったりとか、抱き締めたりとか…
親しい人だからとかって、
触らせちゃダメだからな…」
「なっ…えっ…?
しょ、翔さんっ…」
二宮を持ち上げて、
ゆっくりとベッドに下ろした。
「まま、待って!
心の準備が~…っ!」
「?
なに言ってんの?」
「…ふぇ?」
「…あぁ、そゆこと。
二宮えっち」
二宮の思考回路がわかったから、
途端口に出してしまった。
そしたらすぐに顔は赤くなり、
涙目で俺を睨む。
「えっちで、悪いかよっ…」
睨んだかと思えば、
恥ずかしそうに目を逸らす。
「いーえ?
俺は二宮好きだから
全然いいけど?」
「あーもう!うるさいっ!
スケベ!」
「んだと」
「うるさいっ、」
二宮の腰に優しく触れると、
瞳に心配そうな色が浮かぶ。
「しねーわ。」
「っ…」
「するかよ、…大切なんだし、
もっとちゃんとしてからするっつーの。」
「……バーカ。」
二宮が首に手を回してきて、
優しくキスをした。
だから俺も、
キスし返してやった。