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方位磁石の指す方向。

第9章 scene 8

二宮side



「あーっ、」

「ん?」

「やっぱ人混み無理。帰ろ?」

「自己中だな笑」

「だって…」


俺から誘い出したのに、
俺から帰ろうなんて
言うと思ってなかった。

傍から見ても、
俺ほんと最低なヤツ。


「ごめんね、せっかくのデート…」

「ん?いーよいーよ。
その代わりさぁ、」

「…っ……なんっ、」

「前も一回したからいーじゃん?」

「っるさい!」


…わかってる。

翔さんだって、
健全な男子高校生だ。

そういうコト、したいのだってわかる。

俺だって、前はしたかった。
…興味があったから。

だけど、今は…
一線越えるのは、
ちょっと抵抗があるっていうか…。

恐怖心が、ある…から。






「あっ…ちょ、汚い、からっ…」

「それ、いつも言ってね?笑
いーの、二宮のは汚くないから。」


でも、翔さんと気持ちいことしてると、
そんな思考はどっか吹き飛んでって。

理性とか、もうなくて。


その行為に俺達は
没頭することしか、できないし…。


「はっ、ぁあ、」

「二宮、かわいーよ…」


翔さんのが俺のに触れる度、
俺の体は素直みたいで
嫌でも腰が揺れてしまう。

耳元で囁かれる甘い低音ボイスも、
優しく俺の手を握る大きな手も、
欲望に染まった瞳も、
荒ぶった吐息も、全部。


全部俺だけのものだと思ったら、
余計に愛しくなる。

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