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方位磁石の指す方向。

第9章 scene 8

櫻井side



俺の隣で寝息を立てる
二宮を抱き締めた。


…今日はどちらもすぐに限界がきて、
呆気なく終わった。


目の前で揺れる睫毛や、
だらしなく開いた口。

それらを見つめ、
くすっと笑みが零れる。


…あぁ、どうしようもなく幸せだ。

さっきよりも強く抱き締めれば
「んうぅ…。」と声がして、
眉を顰めている。


そんな顔も愛おしく、
ただ二宮の顔を見つめていた。

前髪を優しく梳いて、
二宮の寝顔を見て
俺はいつまでも微笑んでいた。



───睡魔は、突然やってきた。

心地よさそうな二宮を見ていたら、
こちらもうとうとしてしまう。


…今寝たら…危ない。


そんなことを思うのに、
脳は早く寝ろと語りかける。


狭いベッドで、二宮とふたりきり。

そんな状況に慣れてしまったからか、
すぐに瞼は落ちてくる。


最後に、

夢でもふたりきりで
いられるように。

と。



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