方位磁石の指す方向。
第9章 scene 8
二宮の代わりなんて、ない。
特別だって、何度思っただろうか。
二宮の声、温もり、
態度、愛のすべてが…。
俺達は子供じみた約束をする。
また明日も会おう。
ずっと好きでいる。
なんて。
好きだ。
ならば一緒にいよう。
それだけの単純な理由で
付き合うのはもういい加減飽きた。
俺にとって、
二宮はかけがえのない存在だ。
二宮にとっては…?
俺はどう映っている?
恋人?大切な人?
「……ん、」
深い眠りから覚め、
目の前に飛び込んできた光景。
二宮の透き通る肌と
長い睫毛。
形がよく、血色のいい唇。
好きだと、そう感じた。
守ってやりたいと。
俺以外に触れさせたくないと、
独占欲までもが沸いてきた。
この綺麗な寝顔を見るのは、
俺だけでいい。
二宮が辛くなった時、
支えるのも俺だけでいい。
笑った顔も、
俺だけに見せるキスする時の顔も。
すべて、
俺だけのものでいい。